Norder 日本のオーダーメイド百貨 制作日記

日本のお誂えものを、見て買って、意見を交換できるサイト・店舗をつくる。そんな決心で会社を立ち上げた社長の日記です。http://norder.jp

人生でいちばん、友人に薦めたい映画

人に何かを届けるということ


今は櫻明堂でオーダーメイドのものを紹介する、というのが本業だけれど、その前、私は漫画家とイラストレーターという仕事で食べていた。
少年誌で連載を5年、有難いことに、10万部を超えた単行本もいくつかあって、プロの漫画家のはしくれとして存在していた。連載の終わりには次の連載の話を十件以上頂いたけれど、それを断って今はこの仕事をしている。
とはいえ、趣味で漫画を描き始めてから20年近く、物語を作ることと向き合ってきたつもりだ。
だから、物語をつくる、それを表現する、ということには人一倍、思い入れがある。


そんな意味で、さきほど目に留まった村上さんの記事には本当に共感した。

人が表現するものは怖いものだ。
案外簡単に、人を操作できてしまう。
人が傷つかないよう、正しい意味で伝わるよう、洗脳しないよう、吟味して届けようと、気を付ける。

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映画「イミテーション・ゲーム」

 

映画館で上映が終わった後、暫く立てない映画が、私の人生にはいくつかあった。

3月の終わりに観た映画は、更にそのあと、ご飯を食べる気すら起こらず、どこに行くあてもなく、打ちのめされ、ただただ、左右の足を動かし続けるだけだった。
美しい飲み物を舐めながら、この映画が生まれた幸運と、出会えた幸運に祝杯をあげたかった。作ってくれた、そして関わった人々に感謝したかった。


一般的な評価は知らない。アカデミー賞多数ノミネート、脚本賞受賞くらいか。
配給会社は名も知らぬところで、そのせいか、席はガラガラだった。終わった後、さっさと帰る人が多かった。
でも、私の友人なら、私がこの映画をこんなにも尊いと思うことを、わかってくれる気がする。
こんな場所に書いてあるこれを読んでくださっているあなたは、初めて検索でたどりついちゃった人か、そうでなければ私の友だ。

映画とは関係ないけれど、たとえば、世の中にはこんな問いがある。
「明日、戦争になって、あなたは戦場に兵士として連れて行かれたとする。あなたは人を殺せるか?」
分からない。
だけど、実際にその選択に向き合う前に知っておいたほうがいいことが沢山ある気がする。
そんな意味で、私の友人に、この映画を見てほしい。


ただひとつだけ、場面転換で時間の飛び方が前後に激しいので、それは注意して観ていないと置いてけぼりになるかも。

連れて行ってくれた友人に感謝。


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久しぶりに丸1日、休日として六本木で1日を過ごした。折りしも桜は満開。去年は毎日昼ご飯を食べていた、檜町公園の桜に再会。